Lesson4-1 日本酒の4つの分類

香りと味わいによるタイプ分類

同じ吟醸酒でも味わいや香りがまったく異なるため、純米酒だから吟醸酒だから「味わいはこう」と一概に断言できない点が日本酒の難しいところです。
辛口・甘口・旨口など味を表す言葉の多くはあいまいなものが多いため、日本酒の味を正確に理解するための目安として日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)が4つのタイプでの分類を考案しました。
ここでは、このタイプ分類法について詳しく見ていきます。

このタイプ分類の大きな特徴は、味わいだけでなく香りを分類の要素として加えている点です。
味も香りも強いものが「熟酒」、味が強く香りは控え目なものを「醇酒」、香りが強く味が控え目なものを「薫酒」、香りも味も控え目なものを「爽酒」と分類します。
単に分けるだけでなく、それぞれのタイプに合わせやすい料理や適温、適した酒器を示していることもこの分類方法の大きなポイントです。

熟酒ー熟成した複雑な旨味の存在感ー

b874a6bf28ae108aed9c36bd761f02e6_s

<代表的なタイプ>
古酒や秘蔵酒

<色>
黄金色に輝く色合い

<香り>
干した果物やスパイス、焼き栗やクルミなどのナッツやキノコ、はちみつやチョコレートなどの香りが豊かで、強い旨みを予想させる。

<味わい>
3年以上の長期熟成酒特有の重厚で豊潤な味わいがある。練られた旨みと甘味、とろみを感じる。スパイスやナッツの香ばしさが熟成した複雑な旨味とともに口の中に広がり、香りをともなう風味の余韻が非常に長い。

醇酒ー日本酒の原点。米の旨みが生きた王道酒ー

<代表的なタイプ>

純米酒。生酛や山廃系の日本酒が典型

<色>
淡く黄色がかっている

<香り>
ごはんの湯気や大豆、そばや餅、ビスケットなどの原料の米麹由来のふくよかで落ち着いた香り。

<味わい>
充実した旨みと、ほどよいミネラル味などの深みのある味わいが特徴。とろりとした食感で後味に力強さがあり、旨味の余韻が長く続く。温度の違いによってさまざまな変化をし、燗にすると旨味の複雑さとキレの良さが楽しめる。

薫酒ー華やかな果実・花・ハーブの香りが広がるー

eaa93deed4ded8584ba4c016ed53bb26_s

<代表的なタイプ>
大吟醸酒、吟醸酒。精米歩合が高く、吟醸酵母を使用したタイプのものが多い

<香り>
無色から淡い色調

<香り>
リンゴや洋ナシ、バナナやイチゴなどの甘い果実や梅やライラックの花などの華やかで透明感のある香り、ハーブや柑橘系の香りを併せ持つ。

<味わい>
ほのかな甘味ととろみを感じるが爽快で澄んだきれいな味わいが特徴。華やかな含み香があるが、旨味成分が少ないので、余韻が短く、切れ味の良い印象になる。

爽酒ーフレッシュ感あふれるシンプルテイストー

059085dc1d45975d7616d861b50c2da0_s

<代表的なタイプ>
生酒や生貯蔵酒、本醸造酒、吟醸酒。低アルコールの酒の中にこのタイプに当てはまるものが多い

<色>
無色から淡い色調

<香り>
水梨、ブドウ、レモン、ライム、青りんご、大根、松の葉など控え目でフレッシュ感がある香り

<味わい>
さらりとした口当たりで、アルコール感がなめらかで優しい甘味とフレッシュな酸味がある。酸味や苦み成分が少ないため、強く冷やしても清涼感を保つ。旨味が少なくシャープな後口になる。