ラベルには味のヒントが隠れている
日本酒の瓶に貼られているラベルはその酒の味を知るための重要な手がかりとなります。
ラベルには、酒類業組合法で記載を義務付けられた項目のほかに、その酒の造りや味わいに関する様々な情報が書かれています。

酒類業組合法で定められた記載必項目
①特定名称の表示
②アルコール分(日本酒度)
③原材料名
④製造地の住所と名称
⑤容量
⑥清酒(「日本酒」と表示してもよいことになっています)
⑦製造年月日
任意の記載事項として書かれることが多い項目
・原材料の品種(使用米)
・精米歩合
・産地名
・貯蔵年数
・日本酒度
・酸度
・アミノ酸度
・使用酵母
・おすすめの飲み方 など
なかでも日本酒の味を推測するときによく使用する項目は、「特定名称」「日本酒度」「酸度」「アミノ酸度」です。これらの要素について一つづつ見ていきます。
特定名称
特定名称は、使用原料や精米歩合などの条件による酒の分類です。
<純米系>
米と麹と水だけで造られた日本酒は「純米系」に分類されます。
純米酒:
精米歩合の規定がない純米酒は、米の個性を生かすために80~90%の超低精米で作る商品もある。コクのある味わいのものが多いが、新潟県産や北海道産のように軽快な味わいの場合もある。
純米吟醸:
精米歩合60%以下の酒。バランスが良く、ふくよかな米の旨みを感じられる優しい味が特徴。
純米大吟醸:
精米歩合50%以下の酒。すっきりした味わいとしっかりした芯を併せ持った最高スペックの酒とされる。フルーティーな香りと上品な味わいが特徴。
<本醸造系>
米と麹、水に加えて醸造アルコールが添加されている日本酒は「本醸造系」に分類されます。アルコールを添加すると、醪のアルコール度数が高くなり、管理がしやすくなるので酒質も安定します。
本醸造酒:
精米歩合70%以下の酒。スパッと抜群のキレが特徴で、様々な料理にも合わせやすい。冷酒でもお燗にしても楽しめる。淡麗辛口になるものが多いとされる。
吟醸酒:
精米歩合60%以下の酒。香りとふくよかな味わいを併せ持つ。醸造アルコールにより、余韻が短いのが特徴。
大吟醸酒:
精米歩合が50%以下の酒。雑味の原因となるタンパク質がそぎ落とされ、純米大吟醸酒よりもさらにフルーティなものが多い。
特別純米酒・特別本醸造酒:
純米系、本醸造系の中で、精米歩合が60%以下または特別な製造方法で造られた酒は「特別」と名前を付けることができる。この場合はどのような製法なのかを記載することが必要。
特定名称の条件にはほかにも、「糖類などを使用していないこと」、「麹米の使用割合が15%以上であること」、「3等以上に格付けされた玄米を使用していることなどの条件があり、これらすべてを満たさない場合は普通酒に分類されます。日本酒市場の70%のシェアがあり、隠れた名酒もたくさんあります。
日本酒度
甘辛の度合いを+-と数字で表します。辛口が+。甘口が-。
+5以上は辛口、-5以上は甘口とされます。
酸度
乳酸、コハク酸、リンゴ酸などの酸の含有量を%で表示します。
通常は1.3~1.5%です。酸度が高いと辛口の傾向が強く、酸度が低いと淡麗甘口に感じます。
アミノ酸度
日本酒に含まれるアミノ酸の量を表します。アミノ酸度が高い酒は旨みとコクのある味になり、酸度が低いと軽い味わいになります。
このように日本酒の味は様々な要素が絡み合って決まるため、一概にラベルの表示だけで甘口・辛口を完全に区別することはできませんが、その点も日本酒の魅力の一つといえます。